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案内屋 〜アンナイヤ〜

第2章 きさらぎステーション 其ノ二

「別に…無理して話そうとか、んな事心配しなくていいけどな。無理にならむしろ黙ってろ。」

予想以上に冷たい渋谷の返しに凛丸は言われたとおり黙ってしまった。

そこからまた、数十分。沈黙が続く。
時間は流れる。目的地へ向かって。

「オイ、塔…とかいったか?」

突然渋谷が口火を切った

「は…はい。」
「おめーさっき、観光…とか言ったよな?」
「はい…。」

怒られる、そんな雰囲気を感じ取っていた。

「言っとくがこりゃあ、観光なんて楽しいもんじゃねえぜ。」
「はい…。」
「もしかしたら、嫌なもん見る事になる。覚悟しとけよ?」

渋谷の言葉は重みを持っていた。
それが何を意味するのか、まだ凛丸には分かってなどいなかった。

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