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案内屋 〜アンナイヤ〜

第2章 きさらぎステーション 其ノ二

またしばらく沈黙が続いたが、凛丸が気になっていたことを話し出した。

「渋谷さん、どうして2ちゃんを利用出来ることが条件なんですか?」

渋谷は答えることに少し悩んだが、口を開いた

「なんつーかな、2ちゃんは俺たちの情報ソースなんだよ。迷子を見つける情報ソース。俺たちの仕事は大きく分けて三つ。お客からの依頼によって迷子を助けること。またお客からの依頼によって行きたい場所に案内すること。そして、自力では抜け出せない迷子を発見し、それを救出、あわよくば未然に防ぐことだ。2ちゃんはこの三つめの仕事の情報ソースにはもってこいなんだよ。俺達が扱っているような迷子は大概面白半分、冗談半分で2ちゃんに自分の迷った状況を投稿する。」
「な、なるほど。でもそれって、普通の迷子と違いますよね?迷子ともなると普通は交番に行くんじゃ…」

渋谷は凛丸の返しに溜め息を吐いた

「馬鹿。普通じゃねぇから俺達がいるんだよ。」

凛丸の背筋が少しだけ震えた

「普通…じゃない…?え?」
「行けば分かるさ。いーから黙ってろクソガキ。」

渋谷の吐き捨てた "クソガキ" に少し傷付いたが、凛丸はとりあえず目的地に着くまで眠っていることにした。
東京を出たのは朝の8時、今まで篭り切りだったニートの凛丸にとってそれは苦行でしかなかったのだ。

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