
やっと、やっと…
第3章 小さな黒い点
―――・・
「あー!終わったあ!」
気がつけばもう6時半
あれから2時間近く作業をしていた
結局一緒に残って作業したのは委員長を含めた先輩2人と大竹君だけ
4人でずっと作業をしていた
「唯ちゃんも大竹もありがとうね
外も暗いし気をつけて帰ってね」
そう言って先輩は微笑む
先輩2人は学校からすぐ近くに住んでいるから
遅くなっても困らないらしい
私と大竹君は家が近いので
一緒に帰ることにした
「こんなとこ見られたら圭介に
怒られちゃうよ」
玄関に向かいながら大竹君が言う
「そんなことないよー
圭介に今までにヤキモチとか妬かれたこともないし」
そうだった
私が男の子と仲良く話していても
圭介は気にしていないようだったし、何よりクラスも違うから学校でそんなに会う機会もなかった
「いやー?わかんないよ?
あいつたまにこっちのクラス見に来てるの知ってる?」
「え?そうだったの?」
「うん。一応心配はしてるんじゃない? 田中さん友達多いし」
知らなかった
私にはそんなこと一言も言わなかったし
圭介が心配してるなんて考えてもみなかった
「そー、なんだ・・・」
玄関で靴を履く
大竹君と玄関を出る
グランドの向こうに人影が見えた
