
やっと、やっと…
第13章 命
家に帰ると、まだ誰も居なかった
自分の部屋のベッドに座り
携帯を開き、電話帳から姉を探す
普段から電話をすることはあるが、
深刻な相談なんて今までにしたことはなかった
姉はなんて言うだろうか
逃げることができなかった私に
呆れるだろうか
辛いことを分かってもらえるだろうか
いろいろな予想が頭を巡って
なかなか発信ボタンを押すことができなかった
―――――――――・・・
「唯が辛いと私も苦しい」
「大事なのは、唯がどう思うかじゃないの?」
二人の言葉を思い出す
そうだ、私のために
自分を大切にするためにも
今は妊娠のこと、はっきりさせないといけない
私は大きく息を吐いて
発信ボタンを押した
