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やっと、やっと…

第15章 8年後…


―――――・・・



「唯ー?!聞いてるー??」



「あ、ごめんごめん聞いてるよ

また彼氏が冷たいって話でしょ」





「もぉー、またって何よー

こっちは悲しんでるんだからー」





あれから8年


23歳になった私は
実家のある田舎を出て東京で大学院生をしていた


そんな私は今
大学の友達と居酒屋で飲んでいる




「仕事で疲れたとか言って、
週末の休みだってデートしてくれないのよ
家で寝てるだけだし、
学生は暇で良いねとか嫌味言われるし、どう思う?!」



「未来はバイトもしてないし、実際暇でしょー」



彼女は『西川未来』
大学の同期で、気の許せる友達
ゼミも同じで一緒に大学院へ進学した

父親が大手企業の重役を務めているから
未来はアルバイトもせず、生活にゆとりもあった

今日も未来の彼氏の愚痴を聞いているところ・・・




「でもさ、なんで唯は彼氏つくらないの??

学部のころからサークルの先輩とか
同期の子とか、告白だってされてたじゃん」



「彼氏かぁ・・・」




8年前のあの日




圭介と別れたあの日から、
高校ではそれなりに彼氏もいた

だけどどうしても、心から好きになれる人はいなかった


親密になるにつれて、
肉体関係を求められることも
高校生なら当たり前のようにあった

だけどその度に、
相手に強い嫌悪感を抱いた

どの恋も、長くは続かなかった




「もしかして、まだあの人のこと好きなのー?」



ニヤニヤとからかうように私に言う未来



あの人とは、



智己のこと






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