
やっと、やっと…
第15章 8年後…
複雑な気持ちのまま家に帰り
もう一度電話帳を開く
発信ボタンも
メールも送れないまま
時間だけは過ぎる
次の日のアルバイトはなんとか乗り切った
月曜日になり大学で未来にこの話をした
未来には
「なんで連絡しなかったのー!?
運命的に会えたのにー!
そんな彼女なんて気にすることないよ!」
そう言われたが、
なかなか連絡する勇気は出なかった
そもそも、番号だってアドレスだって
変わっているかもしれない…
家族や大学からのメールや電話が来るたびに
智己からではないかと気持ちを弾ませた
智己からなんて、来るはずもないのに…
ーーーーーピロン
お店で智己と偶然会ってから5日後、
もう智己からの連絡への期待すらしなくなった頃
いつものようにメッセージを知らせる通知が
”新着メッセージがあります”
スマートフォンの画面の表示をタップする
差出人は
”江口遥”
遥からだった
