
やっと、やっと…
第16章 再会、そして
個室はソファが向かい合って並び
真ん中にテーブルがあるシンプルな部屋
落ち着いたBGMのかかる
しっとりした雰囲気のお店
ソファに腰を下ろし、
ドリンクを注文して一息つく
「唯は、今なにしてるの?」
最初に口を開いたのは智己だった
私は高校を出てから大学進学で東京に来て
今は大学院に在籍していることを話した
「智己は?」
智己は、高校を出てから私と同じく東京の大学へ進学し、今はインテリアデザインの会社で働いていると教えてくれた
運ばれてくる料理を食べながら
お互いの近況を報告し合った
久しぶりに会ったとは思えないくらい
話が弾んだ
「そういえば…
この間会ったカフェでバイトしてるの?」
智己があの日のことに触れた
「うん、土日はほとんどバイトしてるよ」
智己に会えた場所
だけど智己は女の子と一緒だった
あの子は彼女なの?
聞きたいけど、聞くのが怖くて
ずっと言えなかった
