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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第3章 春の夢 参

 だが、一瞬、歩みを止めた清七は眼を見開いた。前方を歩いていた女―お須万が突如として、その場にうずくまったからだ。仮にも大店伊勢屋の内儀であれば、誰か伴が付き従っていそうなものなのに、今日は、あの若い番頭の姿も見えない。
 よくよく見れば、お須万の両腕には細い腕に持ち切れそうにもないほどの大きな風呂敷包みが抱えられている。

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