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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第3章 春の夢 参

 ひどいときは物陰でそそくさと事を済ませるときさえあり、大抵は花の盛りを過ぎ、遊廓では客に見向きもされなくなった年増の女であることが多い。それでも遊廓に登楼して揚げ代を払うよりは格段に安くつくため、若い職人や人足といった稼ぎの乏しい男の中には夜鷹を買う者もいた。
 今夜は、久々に女の身体に溺れて、すべてを忘れたい―、清七は暗澹たる気分で月もない夜道を歩いていった。

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