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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第4章 春の夢 四

     《其の四》

 清七がその噂を耳にしたのは、ほんの偶然にすぎなかった。それは、あろうことか、町人町の目抜き通りに店を構える錚々たる大店の中でも殊に名の知られた大店〝伊勢屋〟の未亡人が二度めの聟を迎えるというものだった。

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