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私のはなし…。

第2章 * はなし1



私は初めて恋の前兆に気づいた。

告るのは嫌だけど
告られたら付き合う…のかな…。


浮かれてた。
今はそう思う。


一週間後くらいたって、
翔に屋上へ続く階段に呼び出された。


私の学校は屋上を解放してなかったので
ロマンチックにするのに
そこが限界だったのだろう。


そんなことを考えながら
屋上の階段へ向かった。



翔はいた。


「どうしたの?」
声をかけた。


「おう。ごめんな。話したくて。」
いつも通りで少し安心した。


階段に2人で腰掛け
赤くなりながら
内容のない会話をした。


翔と話すのは楽しかった。

好きだった。



夕日が沈んで少し暗くなってきた頃
翔は恋愛の話に持っていったあと、
上手い具合に本題を切り出した。


「好きな人がいるんだ。」

こう言われた時の返し方は
1つしか知らない。


「だれ?」

「ん…と、はぁ。ーー」


唾を飲み、ゆっくり呼吸をして
翔は続けた。


「好きです。付き合ってください。」


ためらいがなく、ストレートで
ドラマや映画で観るような
在り来たりな台詞だった。



けれどその言葉を言われた瞬間
私の心臓はドクンと大きく1つ打ち、



「はい…」


私の口は勝手にそうつぶやいた。


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