
残業・メモ子
第52章 無夜
時間だけが………無情に過ぎていく…
いい思いをした…罰だ――…
私は……視線だけを…メモ帳に向けた…
風に……揺れる…メモ帳…
私は……手を伸ばし…メモ帳を掴み……握り潰す……
ここには…最低の自分の最低な行動が…書かれている…
グッと握り締め!
ごみ箱目掛けて……捨てようと!!
メモ帳を高く振り上げ―――――――――…
―――メモ子さん…
ありがとう――――――…
――――――――――…
投げ捨てる…事が…
出来なかった――――――…
メモ帳を握り締める手が…開かない…
――――メモ子さん…
ありがとう―――――――…
『――――――大島…さん』
捨てようと思った瞬間に…
大島の………困ったような…
はにかんだような笑顔…が…脳裏に浮かぶ…
―――――あいつを…
助けてくれないか…―――
藤原の……真剣な…顔…が…思い出される…
『――――――…藤原…さん』
