
残業・メモ子
第54章 公園
「……何やってんだよ…
ちゃんと……芽依子を見ろ!」
大島は、俯く石割に強めに言い放つ…
『……え…どう…して…』
石割は……目を真っ赤にさせ…私を見た…
泣いた……目をしていた――…
「…こいつ…俺達に…八つ当たりしに来たんだよ…
芽依子のしてたこと…知ってたのか――――って…」
ビクッっ…と石割の体が…固くなる…
「駄々っ子だよ……なっ…石割?」
『……え…でも…なんで』
そんな…軽蔑したなら……
なんで…私の目の前に…
いるの?
「……ごめん…」
石割は……俯く――――…
「…大島さんに…ちょっと…聞いた―――――…
ごめん…
で…でも!覗きは…やっぱ…止めて方がいい!!!って…
止められないなら!俺が!!!止めさせて見せるから!!!
感じないなら!俺が感じさせてやるから!!!」
『……!!!いっ石割さん…』
多分…謝りたいのだろう…
自分が、とんでもない事を口にしているとは……思っていない様子だった…
必死さが…伝わってきた…
「……嫌いに…なれなかった…
普通じゃない…って…解っても……
理想とか…完璧とか…崩れても…
やっぱり……芽依子さんの…笑った顔が――――…
好きだから―――――…」
そう言うと…
手に大事そうに抱えていたものを私に…差し出した…
『……これ……?』
「藤原が……持って行ってやれって……」
受け取ると……
魔法瓶の…浅いタイプ…
あ……スープ…ポット…
『…え…これ?』
「……うちの店のスープ…
こんな事で……
芽依子さんを傷つけた事は消えないけど――――…」
