甘い裏の顔
第1章 秘密
「あー最悪っ!また赤点とっちゃったよー…。これで2回目なんだけどっ!!」
バンッ
そう言って両手で思いっきり机を叩くのは、あたしの数少ない友達、椿 まいこ。
あたしはまいこの大声に眉をしかめながら口を開いた。
「ちょっとうるさい。集中できないでしょ」
まいこが机を叩いたせいで字がゆがんでしまった。
「はぁあ?また問題集やってんのっ?本当に勉強馬鹿ね、千尋って」
まいこはそう言って呆れたようにあたしを見る。
いやいや、二回も赤点とったあんたにそんな顔されたくないわ…。
「当たり前でしょ。あと2ヶ月で受験生なんだから」
「そんなの来年になってからでいいじゃん。早すぎるって!」
まいこは呑気にポッキーをくわえながら言った。
そんなんだから赤点ばっか取るんだって…。
まいことは高校になってから知り合った。
昔から人付き合いが苦手で、勉強しかしてこなかったあたしは、友達と言える人がほとんどいなかった。
そんなあたしに、明るく声をかけてくれたのがまいこだった。
可愛くて誰とでも仲良くなれるまいこはあたしとは正反対だけど、一年以上あたしと友達を続けてくれている。