
4月の空に舞うサクラ
第1章 出会い
「セミ、セミ....、あった!」
埃っぽく、インクの匂いが充満している図書館。
期末考査が終了したからか、図書館には
全く生徒がいない。
私の声だけが響く。
重たい図鑑を抱え、テーブルの席へ腰を下ろす。
最近、忙しく鳴いているセミについて
少し興味が湧いたので図鑑で見ることにした。
うっわー…。
昔はセミ捕りなんて、ちょちょいのちょいだったけど
今はグロくて仕方ない。
「うっわー。そんなの読んどいて気持ち悪くないわけ?」
…ん?
この声、誰?
聞きなれない声が私の鼓膜を震えさせた。
