テキストサイズ

両親へのプレゼント

第2章 両親の結婚記念日

 「ありがとうございます。実は、数ヶ月前に、テレビで関西のホテルの特集番組をたまたま家族で見ていて、一度でいいからこんなところに泊まってみたいねと、父が母に話していたのを聞いていたからなのです。そのホテルが、ここ京都クイーンズホテルだったのです。ただ、恥ずかしい話ですが、こちらの宿泊料金のことも調べずに来てしまいました。先ほど、ここのパンフレットに書かれている料金を調べたら、3万円からとなっていたため、ほんとうのところは、諦めようかと思っています」

と彼女が少し悲しそうに言った。 

 「ご宿泊の希望日は、いつなのですか?」と私が尋ねると、


 「来月の16日です。その日は両親の結婚記念日で、ちょうど20年目になるのです
 と彼女は明るく言うと、

 「8月16日ですか?」
 と念のため彼女に確認をした。


  彼女に確認をした理由は、8月16日とは、京都では有名な『大文字の送り火』がある日で、その日は、すでに数ヶ月前から満室になっていることを私は知っていたためだ。


  彼女は小さく頷くと、

 「部屋はとれないでしょうか?」と彼女が不安そうに言った。


 「その日は、あいにく全館満室なのです」
 と私は正直に満室になっている理由も彼女に説明した。


 「わかりました。では、他のところをあたってみます」
 と彼女は言って、席を立とうとした。

 「他の市内のホテルに空き状況を確認をしますから、あと15分ほど待ってもらえますか?」
 と伝えた私は、フロント事務所へ戻り、市内にある約10件のシティホテルへ電話を入れ、確認をした。しかしながら、良い結果は得られなかった。


 


ストーリーメニュー

TOPTOPへ