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I'll protect you.

第36章 犠牲



誰もいない体育館の2階にあるギャラリー


そこにある一番奥の人目につかない椅子にコウキ君は私を座らせた



「今、体育もグラウンドだから

ここなら誰も来ないだろ。

落ち着くまでここにいよ。」



コウキ君は私の隣にドカッと座って長い足を前の椅子に置いた



携帯でカナと連絡を取っているようで、引っ切り無しに携帯が震えていた。




「ユウさ、今までもこーゆうことあったの?」


『……』


「あったんだね」


『……どうしてわかるの?』




コウキ君は大きく伸びをしてお日様みたいなキラキラした笑顔を向けた。



「ずっと自分の事責めてる感じがしたから。

やっぱり、義兄さんが関係してるってユウも思う?」



コウキ君は間を空けてゆっくりと話してくれる。



そのせいか、誰にも言えなかった感情が込み上がる




『……いつもいつも私と仲の良い人ばっかり犠牲になってたの……


女友達ばっかりなんだけど、周りの人に無視されたり、男子からは汚い存在みたいに扱われて……


前は、涼太だって殴られた……


私のせいで、いつもみんなに辛い思いをさせてた……


そのせいか、私は自分から友達と距離を置いて過ごしてた……


その方が相手に被害は及ばないから……


そうやってきたのに……っ


できないのっ……!


こんなに人を好きになったのは初めてで……


シン君はきっと私のせいでこうなったんだってわかってる……っ


それでも、


好きだから…大好きだから……


シン君と離れたくないの……っ


でもシン君が辛い思いしてるのはわかってて……


私が離れればいいってこともわかってて……


でも……っ…でも……』





離れたくない





別れたくない






シン君を失いたくない





どうしよう





今すっごく……







「ユウ、シンのところに行こ」






シン君に会いたい




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