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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

課長から離れて、ドキドキしながら振り返る。

倉田さんは比呂子さんに支えられて、ようやく立っているって感じで。

「倉田、タクシー乗れるか?」

課長が倉田さんに呼びかける。

「今呼んだところだから、先に乗っていいぞ」

すると比呂子さんが

「あれ!?もう帰るの!?」

「もう充分送り出してもらったからな」

「そうなんだ…お疲れ様でした」

比呂子さんが微笑んで挨拶をした。

「私、迎えがもうすぐ来るので、倉田くん送りますよ」

「え?いいのか?」

「はい。倉田くんち、割に近いんで」

比呂子さんはにっこり笑いながら

「その代わり、平谷課長は美帆ちゃんお願いします」

「え!?」

突然の申し出に、驚きの声を上げてしまった!!

「だって、倉田くん送って美帆ちゃんち行くと遠いんだもん」

口を尖らせてそんな事を言いつつ、課長から見えない角度でウインクして見せた。

「女の子一人で電車で帰らせる訳に行かないじゃない?…ってことでヨロシクね!!」

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