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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

平谷課長と美帆がタクシーに乗り込むのを見送って、比呂子は1つ息をこぼすと

「…で?いつまでこうしてる気?」

と、肩にかかった倉田の手を叩いた。

「…あ、気付きました?」

伏せていた顔を上げて、ニヤッと笑う倉田に、同じように笑いを返すと

「同然。倉田くんがあれだけで酔うわけないじゃん」

「話、合わせてくれて助かりました」

「何よ。美帆ちゃんと課長、くっつけたい訳?」

比呂子のからかうような口調に、ははっと小さく笑うと

「そうなんですか?」

「私が聞いてるんだけど!?」

倉田はくくっと笑うと

「じゃ、お疲れ様でした」

と、片手を上げた。

「え。帰るなら送るよ?」

「いえ。飲み足りないんで、ちょっと寄ってから帰ります」

それじゃ…と歩きだした倉田の袖をグッとつかんで引き留める。

「よし!!今から飲みに行こうか」

比呂子の提案に、倉田は驚いたように比呂子を見た。

「は。彼氏来るんでしょ?」

「断る」

「いいんですか!?」

「だってまだ来てないもん」

「うっわ。彼氏かわいそー」

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