テキストサイズ

ショートラブストーリー

第4章 美夜子(みやこ)

あたしの事振り回しといて(って言っても、貴史は『俺は振り回してない』って言うだろうけど)それはないでしょ!?

「じゃ、じゃあさ、たかちゃんはどんな人がタイプなの!?何となくは分かるけど、ちゃんと聞いた事ない!!」

「『何となく』分かればいいじゃん!?」

「やだ」

「何で?」

「え…と。知っときたいから…」

「何で?」

「どんな人を好きになるのかが知りたいから…?」

「知ってどうするんだよ」

「う…ん」

深く掘り下げられて、唐突に気づいた。

貴史のタイプが気になるのも、AV嬢に嫉妬するのも、動向が気になってどうしたらいいか分からなくなるのも…理由はこれだろうって。

だけど、今さらそんなの言っていいの!?

「たかちゃんが好きだから」

意を決して。想いを告げた…のに。

「はいはい、そーですか、そーですか」

かるーくかわされてしまった。

「もぅ。何かリアクション薄いよ!?」

「…どうせお前の事だから、『お父さん好き、犬や猫も好き、たかちゃんも好き』と同じだろ。いちいち照れるかっつーの」

そこら辺の犬猫と同じじゃないんだけど!!

ベッドに座って本を読んでる貴史。そんな余裕たっぷりの姿が腹立たしい。

あたしは貴史の側に行くと、無言で本を取り上げた。

驚いて顔をあげた貴史に…あたしはキスをした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ