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ショートラブストーリー

第5章 遥(はるか)

「水沢さん、露天風呂の張り紙、読みました?」

池上くんは反対側を見ながら話しかけてきた。

「…見てない」

「…でしょうね。ここって12時になると、男の方の脱衣場の鍵が開いて混浴になるんです」

「ウソ!?」

「女の人はバスタオル巻いても良いことになってますけど…よっぽどこの時間来ませんよ」

え…、じゃ、これから男の人が来るって事!?

「じゃ、もう出るから!!後ろ向いて!!こっち見ないで!!」

「はいはい」

肩越しに池上くんがこっち見てないか確認して、タオルで隠せるだけ隠して出ようとすると

「水沢さん、ストップ!!誰か来た!!」

池上くんが男性側の脱衣室のドアを見ながら止めた。

急いで肩まで湯槽に浸かり直す。

すると、オジサンが3人入ってきた。

「うわ…最悪…」

でも会社の人じゃないからまだ良かった…かな…?

「走って行けば見られずに済むかな…」

「無理でしょうね。後ろ姿は見られちゃうと思いますよ」

「…でも知らない人だし…見られたとしても…」

「駄目です」

「駄目?」

「駄目ですよ、そんな事。いいからここで待っててください」

何故か怒った口調で言うと、池上くんは湯槽から上がり、脱衣室へ入っていった。

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