Principem auro
第4章 金色の少女
「どうか顔を上げてほしい…。」
決して大きくはないけれど、凛とした声にその部屋にいた全員がはっとして顔を上げ、言葉を紡いだ少女を見た。
少女はなんとも言えない表情のまま5人を見た。
「お前達の忠誠に恥じない主となることをここにいる全員に承認となってもらい、誓おう。
でも…どうか私のために身を捨ててはくれるな。」
金色に光る目の奥には悲しみの色さえ見てとれた。
「アリア様っ!我々はあなたを守るために存在するのですっ!!」
「あなたを守り抜くことこそが私たちの役目ですっ!!」
「貴女様の命はとても尊いものですっ!」
「あなたはこの国の希望となる方ですっ!」
「貴女の代わりとなるものなどいないのです!」
5人の従者が弾かれたように言葉を発する。
今までの儀式ではこんなことなどなかった。
王がこのようなことをいうなど例外だ。
でも、その場にいた誰もが、現王さえも止めなかった。
否、割り込むことなど出来なかった。
少女は静かに首を振った。
「あなたたちの代わりだっていないよ。
むしろ…私の次には必ず王となるものが生まれる。
代わりがいる…というのならばそれは私の方だ。」
「アリア様っっ!!!それはあなた様が口にしていいことではございません!!」
誰かが悲痛の声をあげて叫んだ。