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禁断兄妹

第37章 永遠の愛を


立ち上がった俺は萌の隣に並んだ。


「一緒には住まなくても、いつもそばにいるから‥‥」


「うん」


萌が俺を見上げる。


「私ね‥‥柊のルール、なんとなくわかるよ‥‥」


柔らかな笑顔
胸は痛いほど熱くなるばかり

強く抱き締める代わりに手を伸ばし
上気した頬についた砂を
撫でるように指先でそっと払い落とす。

ルールなんて
そんな格好いいものありはしない

俺はただの我欲の塊

お前を腕の中に閉じ込めて
いつまでも離したくないだけ


「‥‥誕生日に欲しいもの、思いついた‥‥」


「え、本当?」


ここへ来る電車の中で俺の誕生日の話になった。
萌は毎年必ずプレゼントは何がいいかと俺に尋ねる。
俺は何もいらないと答える。

さっきも交わした例年通りの会話
そうは言っても萌は毎年趣向を凝らして子供らしいプレゼントを用意してくれるから
それが俺の楽しみだった。


「わー、何?そんなこと言ってくれるの初めてだねっ」


萌が目を輝かせる。


「そうだな」


「お年玉とか貯めてるから、遠慮しないで言ってっ」


「お金を使うより、難しいことかも知れない」


「‥‥?」


俺は萌の頬を撫でていた右手を引いて
自分の左胸に当てた。

砂の上に片膝をついて萌を見上げた俺に
大きく見開かれる瞳


「願わくば、姫の永遠の愛を頂きたい」


俺が欲しいもの
どこにも売ってない
お金じゃ買えない

世界中で

お前だけが持っている

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