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天使と悪魔の恋愛事情

第2章 人間界でのお仕事

空いていた窓から物音を立てないようにそっと入る。
中はちょっと薄暗くて、外から見るよりも狭かった。
場所はもうわかっているようにスイスイ進むアルジーの後ろを着いていく。


階段の上を滑るように下に降りると、何処かの部屋から女の子の嗚咽の混じった声が聞こえてきた。
アルジーは私をチラッと見て、それから声のする部屋へと進みだす。


「お母さん…お母さん…」


中に入るとベッドに横たわる女の人と、グスグスと鼻をすすりながらベッドの端に座る女の子がいた。


「…泣かないの。」


そう言って女の子の頭を撫でる女の人。
聞いている限り親子なのだろう。


「だって、お母さんが死んじゃうもん…お母さん居なくなったら私…一人ぼっちになっちゃうもん…!」


泣きながら訴える女の子をお母さんは黙って撫で続けた。
その手はとても細くてちょっと触ったら折れそうなくらい。

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