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いつまでも、何年経っても切なくて

第19章 あなたを信じて待つ

返す言葉が無かった


兄貴は俺がバスに乗ったのを見届けて
帰っていった


兄貴の言ったことはもっともすぎて

俺を情けなく思わせた





莉子...



俺は信じて待つよ



また二人で過ごせる日々を



俺は待つのが得意だから


そう、今までも何度も何度も
待ってきたんだから...



バスの中で莉子に渡せなかったアネモネの指輪を握りしめた


いつの日か必ず自信を持ってこの指輪を渡したい




だけど


せめて一目だけでも顔を見たかった


壁の向こうには間違いなく莉子がいたんだ






莉子に会えなかった現実は辛すぎて



窓のカーテンに顔を隠して



俺は声を押し殺して泣いた



莉子...





あと一歩で





会えていたのに...

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