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居場所のない世界

第1章 始まりの木






誰も現れなかった。
だが、そこには1本の大きな木に満開の桜が咲いた。


風が吹いて桜の花弁が散っていく。
生まれて初めて少年は桜を見た。
監禁されていた少年は、外の世界は知らない。

こんな、綺麗な花が有ることも
少年は、暗い森に来て雑草の花しか見た事しかなかった。

雑草の花も綺麗だが、桜はそれ以上だった。
心を癒してくれる。
少年は、今目の前に有る、桜の名前を知らない。

ただ、少年はみとれていた。


『……綺麗だろう。少年』


桜から、声が聞こえてきた。
少年は驚いている。

もしかして、花が喋っているのか

少年は考える。
だが、桜が喋っている訳ではない。



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