
Take me
第16章 16
「無いね…」
「うん…」
やっぱり俺は、はじめから愛されていなかったのかも知れない。
でも、ある時期を境に、俺の写真が沢山撮られている。
家族皆で笑顔だし、俺の思い違いじゃ無ければ
お父さんやお母さんに抱っこされて愛されていたように見えるんだけれど。
「違うアルバムにあるのかも知れないね」
「…そうかも。」
そう信じるしかない。
小さな時はまだ、お兄ちゃんへの気持ちも尊敬的なものだけだった。
お母さんに憎まれるような視線を受けた憶えもない。
「別の探してみる?」
お兄ちゃんの声と共に玄関の扉が開く音が聞こえた。
