
Take me
第16章 16
苛立つ。
何故なのか自分にも分からないけど、物凄い怒りと絶望と、家族一緒にいる空間で感じる孤独。
「…どういうこと?」
声が震える
「紘夢が家族じゃないってこと?何を言ってるんだよ!父さん!」
お兄ちゃんは身を乗り出して迫る。
「お兄ちゃんも…知らなかったの…?」
「知っているはずないだろう!お前は、紘夢は、うちの家族なんだから!」
お兄ちゃん…
もう、そう呼ぶ事も許されないね。
「頼む、落ち着いてくれ。
お前達と話をしたいんだ。」
こんな事、今更カミングアウトされて落ち着け?
無理だろ。
目の前にいるこの人は馬鹿なの?
思わず乾いた笑が溢れる。
「紘夢はね、雪子という私達の幼馴染の…子ども、なのよ。」
…誰?それ。
