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隠れて甘いkissをして

第1章 ツイてない日

………ハッと我に返る。


こちらを真っ直ぐ見つめる立花から笑顔が消えていて


私はその時点でようやく口を閉じた。



「……………」



暫くの間、お互い無言。


重苦しい空気が漂う中、立花が煙草を灰皿に潰した。



「………咲原が思ってるような、気楽な仕事じゃないよ。
彼女なりに頑張ってるんだ」



立花の声はいつもと変わらず穏やかだけど


なぜかそれが、一層私をイライラさせる。



「受付嬢なんて、微笑んでいればいいだけだと思うけどな」

「…………」

「美人って得ね」



………私、どうしてこんな事言っちゃうの?


立花の彼女の何を知って、こんな悪口を………


言い過ぎだと自分でも気付いて、顔を上げると



「………何を言われても、構わないけど」

「…………!」



普段の明るい立花からは想像もできない、低い声。


その冷たい表情を見て、一瞬で体から血の気が引いた。



「関係ないよ、咲原」


「…………っ」


「………お前には、関係ない」

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