
隠れて甘いkissをして
第10章 シゲさん
一度駅まで行って、あの日の記憶を頼りに線路沿いの道を進む。
隼人がいるかは分からない。
でも、なんとなくいないだろうと思っていた。
あのBARはオープンテラスになっていたし、表の通りからよく見える。
駅からは少し歩くけど、金曜日の夜ともなると客は賑わうから、彼がいたら目立ってしまうだろう。
それでも、隼人との出逢いであるその場所に行きたかった。
それに、隼人が親しげにしていた、シゲさんというマスターがいてくれたら、隼人に電話できる勇気が出そうな気がして…
そんな事を思いながら、私はゆっくり歩いていった。
