
隠れて甘いkissをして
第10章 シゲさん
「………由宇ちゃん。
もうひとつ教えてあげる」
シゲさんは優しく笑う。
「隼人は、由宇ちゃんに自分の事を気づかせる為に
由宇ちゃんの会社のイメージキャラクターになったみたいだよ?」
「…………!」
「由宇ちゃんの事を何とも思ってなければ、わざわざそんな事しないよ」
あ……
そういえば……
急に記憶が舞い戻る。
金曜日の夜、車の中で
私が分かる様にしとくって、彼は確かにそう言ったんだ。
「あいつなりに仕掛けた事だから、由宇ちゃんから連絡してあげないとね」
シゲさんは微笑みながら続ける。
「隼人は今日は仕事で神戸に行ってるらしいけど、この時間なら大丈夫だよ。
裏口に行っておいで」
「………っ
ありがとう、シゲさん」
高鳴る胸の鼓動を感じながら
私は携帯を握りしめて裏口に向かった。
