
隠れて甘いkissをして
第17章 涙
「……咲原!」
咲原はお金を置いて、出口に向かって歩き出した。
俺は急いでそれを掴んでカバンを持つ。
「ごめん、俺も行くから」
2人の、え~という声を背中に聞きながら
店員と会計を済ませて、急いで咲原の後を追う。
エレベーターを降りて外に出ると
少し前を早足で歩く咲原を見つけて、俺はその右腕を掴んだ。
「待てって!
……ごめん、俺もまさか麻里奈の知り合いと会うとは思いもしなくて」
「……偶然だもん。
立花のせいじゃないよ」
振り返らずに、咲原は小さく言った。
