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隠れて甘いkissをして

第2章 突然の出逢い

「………んっ……!」


彼の舌が、深く絡んでくる。

突然のキスに体が硬直し、腰が砕けて

今にも倒れそうな私を、彼の左腕がしっかりと支えた。


今………

一体何が起きてるの……!?


状況を整理しようとしても、彼の激しいキスと熱い腕の中で

あまりの気持ち良さに、頭が真っ白になってしまう。


……だ、だめ………!


「…………っ
や、やめて………」


唇の間に少しだけ隙間が出来て、やっとの思いで声を出した。

このまま続けられたら、どうにかなってしまいそうな気がして………

ちょうどそのタイミングで、タクシーが目の前に止まる。


「残念。いいとこだったのに」

「…………っ」

「気をつけて帰ってね」


彼は微笑むと、放心したままの私をタクシーに乗せた。

ドアはすぐに閉まり、薄暗い道を進み始める。


慌てて窓を開けて、彼の方に振り返ったけど

BARの中に戻ったようで、その姿は見えなかった。


「別れ際にキスなんて、彼氏とラブラブだね~」


運転手のおじさんがニヤニヤして話しかけてくる。


「……い、いえ……彼氏では………」


彼氏どころか、今日初めて出逢った知らない人。

大粒の雨が、窓ガラスを打ち続けるタクシーの中で

彼の視線を思い浮かべながら、まだ熱さの残る唇にそっと触れた。


……これが、隼人と私の最初の出逢いだった。

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