
隠れて甘いkissをして
第22章 試写会
「……………!」
黒くて細マッチョな体に、金髪の刈り上げ。
真っ赤に塗られた唇から覗く白い歯。
ブランドの高そうなスーツを、ピタッと着こなしている。
アメリカ映画にでも出てきそうなワイルドな彼は、放心した私に話しかけた。
「んもうっ、そんなにびっくりしなくてもいーじゃないのヨ!
アタシ目立つんだから、さっさとコレ受けとんなさい」
(……オ、オネエ……!?)
アンジーはニッコリ笑って私にチケットをくれた。
「はい、これで普通に会場に入りなさい。
1階席の前から5番め、特等席ヨ。
じゃ、確かに渡したからね。
あー忙しい忙しい!!」
そう言って立ち去ろうとする彼……改め彼女を、私は慌てて呼びとめる。
「あ、ありがとうございました。
あの、私他に気をつけることは……?」
