
隠れて甘いkissをして
第22章 試写会
その後、会場内は暗くなり上映が始まった。
映画の前半は、内気な1人の少年が、旅をしながら出会う人々によって変わっていくという、シンプルなストーリーだった。
そのままほのぼのと進むと思っていたら、それぞれが持つ過去が、最後には全てが繋がるという衝撃なラスト。
私は釘付けになる。
こんなにのめり込んだ映画は久しぶりだ。
映画の中の隼人は、無口で不思議な雰囲気を持つ、絵描きの男の役。
猫背で暗く、全身から孤独感を漂わせていて、現実の隼人とは似ても似つかない。
そんな絵描きの男が、最後に本性をだし、少年を襲い豹変する姿には身震いすらした。
………圧倒的な演技力。
それでも脇役に呈して存在感を消しているから、主人公の少年の演技が光る。
完全に役になり切っているんだ………
役者としての隼人を見て、私は胸が熱くなった。
