
隠れて甘いkissをして
第25章 迷い
麻里奈が怪訝そうな顔で俺を見る。
………何が言いたいのかはわかる。
でも、咲原への気持ちは、まだ話せる段階じゃないと思った。
「俺、今まで仕事に対しても何にしても、真剣に考えた事がないのかもしれない。
環境に恵まれてるし、特に考える程も無くそれなりにうまくやってこれてたから。
でも……今、ここにきてちゃんと自分と向き合ってみようかと思ったんだ」
ここまで話したところで
麻里奈が泣きそうな顔をしたのに気づき、俺は慌てて続けた。
「麻里奈のことは、大事にしたいと心から思ってるよ。
ただ、今の状況がこんなだから。
本当に勝手な事言ってるけど、俺は………」
