
隠れて甘いkissをして
第29章 不穏な通告
彼女は持っていた高級ブランドのハンドバッグから携帯を取り出し、何処かに電話をし始めた。
「あーあ、ほんと待ってて損した。
……あ、もしもし?
終わったから車回して。
暑いんだから早くしてよね」
「あ…あの……!」
私は思い切って声をかける。
「さ、さっきから突然何ですか?
あなたが何を言ってるのか、わかりません……」
彼女は電話を切る。
そして、サングラスを外して私をジッと見てきた。
長いまつ毛に、大きな瞳。
「いいから、そんなに頑張って隠そうとしなくて。
あなたが昨日隼人の部屋に入ったのは見てるから。
……楽しい夜を過ごせたかしら?」
