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隠れて甘いkissをして

第30章 言葉にできなくて

信号が青になる。


無言の私を、立花は何も聞かずに黙って一緒に歩いてくれていた。


今まで何回か味わってきた不安。


その度に隼人に逢って、また安心して。




でも、今回は違う。


不安ではない。


恐怖だ。


隼人を信じてるからこそ、どうしようもなく押し寄せる、不吉な胸騒ぎ。


ここまできて、隼人を失うなんてことを考えなくてはいけないなんて。


日曜日のたった数分の出来事だけで、こんなにも追い詰められている。


唇をきゅっと噛んだ。




……泣くな。



立花の前で



私に泣く資格なんか無い。

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