
隠れて甘いkissをして
第30章 言葉にできなくて
……それなのに。
あの赤いワンピースの残像が、目の裏にこびりついて消えない。
過去に隼人を知る人が、私の知らない過去へと引きずり戻そうとしている。
怖くて怖くて、たまらない。
だって私は、あの女性には到底敵わない。
ただの一般人で普通のOLで、大した夢も無く、あの人のような美しさも無い。
隼人を繋ぎとめる何かを、何も持っていないの……
「……………っ」
怖いよ。
この気持ちを吐き出したい。
誰かに聞いて欲しい。
どうすればこのままでいられる?
何をすれば隼人は私を好きでい続けてくれる?
隼人を繋ぎとめる方法、誰かに教えてほしい。
……でも……
誰にも話せない。
話しちゃいけない。
……立花にも……
