
隠れて甘いkissをして
第31章 疑心
「咲原」
駅まであと少しのところで、立花が言った。
「俺が言えた義理じゃないけど。
酒飲んだり愚痴ったりすることで、少しでもお前の心が軽くなるならいつでも付き合うから。
海老沢も誘ってさ。
だから、あんまり思い詰めるなよ」
「立花……」
素直に嬉しかった。
資料室の一件があっても、こんな風にまた普通に話してくるところが立花らしい。
お互いに本心を話せなくても、こうやって同じ会社の仲間がいるということだけで、安心感がうまれる。
「ありがとう。
そうだね、今週のどこかで行きたいね……」
そう言って顔を上げると……
