
隠れて甘いkissをして
第38章 別れる理由
「……降参。参ったよ」
肩を落とした俺に、翔太はニヤッと笑った。
「良かったな、アキくん。
久しぶりにお前の作ってねぇ表情を見た」
「………!」
「俺のお陰だな。感謝しろ」
……こいつは……
昔からこうだった。
普段はチャラけているくせに、ここぞという時は容赦なく確信をついてくる。
「そうと分かれば、後はお前がどうするかだな。
とりあえず、今日の夜行くか?
みんなは当然後から彰が来ると思ってるけど、何も聞いてないんだろ?」
「あぁ……」
ふいに空が暗くなり、雨雲が覆い始めた。
自分の本心に気付いた以上、もう彼女と一緒にはいられない。
夕立ちの気配がする窓の外を見ながら、俺は翔太に言った。
「ちゃんと、話すよ。
もう、誤魔化せないんだ。
麻里奈とは………別れる」
