
隠れて甘いkissをして
第40章 叶うなら…このまま①
「…………っ」
振り返ってすぐ、その胸に顔を埋めた。
涙を見られないように、そうしたんだけど
きっと彼には気付かれていると思う。
隼人の心臓の音が響く。
暖かい腕が、私の体をさらに強く抱きしめた。
「よく来たね。
何もなかった? 大丈夫?」
声が出ないから、必死に頷く。
「映画祭、おとといマドリードで無事に終わったよ。
今日から3日間は、ずっと一緒にいられるから。
………今日まで逢えない期間が長くて、ごめんね」
隼人の一言一言が優しくて。
隼人が私の顔を上げさせた時には、もう涙でくしゃくしゃになっていた。
