
隠れて甘いkissをして
第49章 七瀬隼人
「素敵よネ~♡」
アンジーがウットリとした顔で溜息をつく。
「その後はもう嵐のように結婚まで進んで、当時暫くはその話題で騒がれてたわね。
でも、幸せそうな2人をみて、世間も心から祝福してたのよ」
「……………っ」
………その演出家の人が
隼人のお父さん……!
「妹は、本当に幸せそうだった。
結婚してから隼人が生まれて、隼人の父親も仕事の拠点を日本だけにして。
実家の近くに住んで、3人で仲良く暮らしていたんだ。
………そう、それはずっと続くはずだった」
シゲさんが顔を歪ませる。
その表情をみて、ドクっと心臓が鳴った。
「………隼人が5才の時。
大雨で視界が悪い日の夕方に……
信号無視した大型のトレーナーが、横断歩道に突っ込んだ」
「…………!!」
「渡っていた隼人の父親は、妹を歩道に突き飛ばして
妹の目の前で、自分だけ数十メートル投げ飛ばされた。
…………即死だった」
