
隠れて甘いkissをして
第49章 七瀬隼人
シゲさんは目を閉じて、言葉を絞り出すように続ける。
「体調が悪くなったのもあって、妹はそのまま入院してね。
隼人は、また演技をすれば元気になるからって言ったけど、わしは今度こそはそれをさせなかった。
これ以上隼人に父親を演じさせたら、隼人が壊れてしまうと思ってたんだ。
………隼人と離れた妹は
それから1年も経たないうちに、眠るように逝ってしまった。
それでも……深海にいるような、長かった日々に、ひとつの区切りができたと……
今ではそう思えるようになったんだよ」
シゲさんは
最後は穏やかな顔に戻り、私を見て微笑んだ。
