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息もできない

第15章 謝って欲しいわけじゃ

ゴミ袋、食器そのまま入れたから戻ってきてたんだ


俺は俺が昨日したことを探る春陽を見て悲しみより、怒りより、焦りが先行していた



やめて、見ないで……


見ないで



1人で舞い上がって作りすぎた食事がそのまま入っているから、中身を見られたらバレてしまう

俺の醜い気持ちが



寝巻きに着ていた長袖のTシャツの腕のところを強く掴む


痛い


そこには前に自分がつけた跡があって
俺は無意識にそこをかり、と引っ掻いていた


もともと俺が削って薄くなっていた皮膚からは少しの刺激で血が滲む

だけど俺は今そんなことどうでもよくて
自分が傷つくのも構わずに爪を立てて


自分のとった行動をひたすら呪った



見ないで、春陽……
俺めんどくさいよね


重い、よね



春陽が少し速い足取りで階段を降りていく足音を聞いた時、堪えていた涙が頬を伝った

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