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息もできない

第15章 謝って欲しいわけじゃ

鍵と鍵を受け取った際に一緒に渡された解熱剤やスポーツドリンクを持って俺は再度階段を上がった


ドアの前まで来て鍵穴に鍵を入れる前


緊張する…ー
直と仲直りできるといいんだが


鍵を差し込むとカチと綺麗に鍵の凹凸が鍵穴と合わさった音がして、ゆっくり回すとカチャ、と鍵が開いた


ドアを開けると開いた先は廊下で突き当たりのドアがリビングへと続くドアらしかった

廊下には左右にトイレや風呂があるだけのシンプルな作りだ

俺は慎重にだけど迷わずにリビングの扉を開けた


家の中はしんとしていて静かで誰もいないように思えたが俺は確信していた



直はここにいる




リビングの横に寝室が見えたがそこに人の姿はなかった


「直…?」


俺はソファに近づいて声をかける
タオルケットを被って震えていたものがぴくん、と反応する


その様子を見て俺は心臓に激しい痛みを感じた



俺はなんて馬鹿なんだろう

恋人なのに

こんなに大切なのに


失ってしまったらどうするって言うんだ

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