テキストサイズ

息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

バーの少し遠くから聞こえる声の中に知っているような声があった気がして俺は耳をすませた


「ーや、ーーーよ…」
「いー…もーーー……」


誰だろ?
なんか会話の内容も聞こえるような聞こえないような


声が聞こえるのはボックス席のパーティションの向こう側


俺は極限まで壁に近づいてみた
すると


「だから、綾いい加減にしろって」
「なんで?こんな良いバーに連れて来てくれるなんて嬉しいからくっついてるのにー」


あや?


「くっつけるために連れて来たんじゃないから」
「じゃあ春陽はどういうつもりで連れて来たわけ?こんな半個室みたいな席のあるバー。良い雰囲気にならないわけないでしょ?」


あぁ、くそ
なんで

なんで俺が行く所行く所全部にこの二人がいるんだ

迷惑


俺は頭を抱えそうになった


普通ならこんなに続けて同じ場所に来るなんてことあるわけない
そもそも春陽はなんでこんなところにいるんだ
お店は?


誰も答えてくれない疑問ばっかりが頭に浮かんで来て居ても立ってもいられず俺は素早く会計を済ませて店を出た


あと少し
あと少しの我慢だから

あと少ししたらこの気持ちの持って行く場所もはっきりする気がするんだ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ