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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

そしてやってきた休日
その頃には俺の精神状態はもう限界寸前

あの後も俺が行くところには必ずと言っていいほど春陽と大崎さんが現れた

近くを通りかかったり、同じ店でご飯を食べていたり、電車の同じ車両に乗っていたり

そして見かける度にいちゃいちゃとくっついて春陽の横が俺ではないことを示して来る

現実を無理やり押し付けられておかしくなりそうだった


大崎さんの嫌がらせかな、やっぱり
きっつい


でもそれも今日で終わり
全部、わかるまで帰らないから



その日の天気は曇り
俺の気持ちを表すかのような今にも雨が降り出しそうな空を見て俺はため息をつく

そして自分の頬を少し強めに叩いた


よし!
行くぞ

まずは実家の近く


俺は散歩でもするかのようにゆっくり歩きながらすれ違った大崎さんと同じぐらいの年頃の女の人に声をかけてみる

「すみません。大崎綾さんという方ご存知じゃないですか?」
「え……?」


大抵の人はこれで俺の顔を見て、まず顔を赤らめて目を泳がせて何か考えた気まずそうに


「知りません…」


と去って行く


なんか違和感
おれが声をかけた人みんな何かに怯えてるみたいだ
俺そんなに怖い顔してるかな

いやそうじゃない、はず

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