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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

俺は必死で色んなものを堪えて首を振った


「…っ……だめ…っ」


春陽の手が拳を作る

そしてぽつりと話し始める


「…人の過去に重い軽いなんてものはないよ、直。繕いきれない傷はみんな持ってる」


そして、春陽自身の過去の話をしはじめた


「俺と朗は幼馴染だって前に言っただろ?…幼馴染は、朗だけじゃない。本当は、千尋っていうのがいて、そいつを含めて3人が幼馴染だった。俺と朗は小学校から高校まで一緒だったんだけど、俺と千尋は大学まで一緒だった」


ちひろ、さん……


「ずっと一緒にいれば、惹かれるのも当然で…俺と千尋は高校の時から付き合い始めた。…それから大学3年までの5年ぐらい付き合ってた。千尋は美人というよりは可愛い雰囲気の女で、男子からモテた。高校でも大学でもあいつを見てる奴は少なくなかった」


俺は春陽の顔が見たくなって顔を上げると、春陽は今まで見たことがないくらい辛そうな顔をしていた


「…俺にはそれが我慢できなかった。他人に触れられるのも、見られることさえ。…………異常だったんだ。俺の執着心は、人と違う。俺のものは、俺だけのものじゃなくちゃ許せなかった。だから…」

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