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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

言ってる間に俯いてしまって、視界に写っていた春陽の手が俺が話し終わった瞬間にぐ、と強く握り締められた


そして


「そんなわけないだろうが!!!」


空気がビリビリと振動する程の大きな声で叫ばれて、俺の零れそうになっていた涙も引っ込む

春陽はそれから、強引に俺の腕を引いて抱き締めた


「……嫌われるって、思った。大事にはならなかったとはいえ、十分犯罪って言えることをしてて…監禁のこととか、怖がられたらどうしようって不安だった」


それまでも強い力だったけど、より強い力で抱き締められる

そして小さい声で


「俺、直に嫌われたら生きていけない….息もできない………だから、話せなかった。自分で解決しようって思ってた」



うそ……
じゃあ俺



「まだ、春陽のこと好きでいていいの…?」
「当たり前。好きでいて…直…」


俺が呟くと、春陽は少し身体を離して俺の頬を優しく撫でた


「もっと顔見せて。本当に直?……もう、陰で見てるしかないと思ってた…」


そう言って俺の胸に顔を埋める


こんな弱気な春陽見るのは初めてで俺は動揺していた


もしかしてこれ、夢?
俺に都合のいい夢…

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